1年ぶりの調兵山(1日目)

調兵山に行ってきます。いつもの、8:20発の鉄嶺行きのバスに乗ります。・・・・と、ここまで書いて出発。ここから、帰国後編集です。4回目の調兵山行きは、なんとも浮き沈みの激しい旅となりました。

鞍山Anshan→铁岭Tieling→调兵山Diaobingshan

 ふと気づくと、バスは芬家屯FenjiatunというICで高速を降りる。どこ?まだ沈阳の手前じゃないか? 去年もしばしば経験したことですが、直通高速バスのハズが、途中で事前に打ち合わせしていたらしい人や荷物を載せたり下ろしたりする。乗務員のポケットマネーになるのでしょうか。高速のIC付近では、手を挙げて乗る客も拾っていったりする。本来、铁岭ICまで高速で行って、10:40着ってフロントガラスには書いてある。隣の乗客「何時に着く?」と訊くと、「11時」と車掌のおばさん。そんなペースじゃないでしょう。しばらくして、同じ客がイライラして訊くと、こんどはぶっきらぼうに「12時!」。結局着いたのは11:45、予定より1時間以上の遅れ。料金は去年より5元上がって52元になってるのに。調兵山のいつもの列車の時刻が13時40分すぎなので、間に合うだろうから焦らずにいられましたが、まったく・・・。
 調兵山行きのバスは、ちょうど大きなバスが客待ちしててラッキー。さっきのバスよりきれい。最初の客だったので、発車までしばらく待たされました。調兵山まで2箇所、バス会社の係らしい人のいるところで停まって、紙にチェックしてる。乗務員のちょろまかし防止かな?と、勝手に憶測したけど、当たらずも遠からずではないかな。新湖公園まで11元。こちらも値上がりしてる。

給炭車がいない!!

時間がギリギリになってしまったので、駅のそばのカーブで撮るしかない。駅の跨線橋を渡って行こうとすると、「あれ!?」。いつもの蒸気動力給炭車がいない。いや、給炭施設そのものがなくなって、水が溜まってる。・・・ということは? 不安に襲われつつ、カーブの撮影地点に行くと、いつもの時間に青いDL単機がやってくる。これは14:26発の大青行き309レを牽くためにやって来る。それと14:06発の东关屯行き403レも駅にいる。ここに大明発13:44着106レと王千発13:56着206レが来て、駅には4本の列車が集うことになる。去年は、ここで206レがSL牽引で来たんだけど・・・、来ない。・・・来ない。小型DLが客車1両と貨車を牽いて出て行く。去年はレールバスが牽いていたヤツだ。でも、106レも206レも来ない。遅れてる? 駅に戻ってみると、东关屯行きと大青行きが出て行った後、誰もいない。もしかして・・・、制服を着てる女性に訊くと、やっぱり・・・。大明線と王千線の列車自体がなくなっていたのでした。駅の時刻表はそのままだし、なんの表示もない。もっとも、地元の系列会社の人しか乗らない鉄道だから、いちいち書くわけもないか・・・。だから給炭車も給炭施設もないんだ。あ〜あ。ついに鉄法線のSLも廃止か・・・。去年、無理しても、もう一回来るんだった、と後悔しきり。写真は大青行き309レと、水溜まりになった貯炭場。しかし、ここでさらに「蒸気機関車もなくなったの?」と訊けばよかったんだけど、そこまで気が回らないのは、やっぱり会話力に自信がないから。これ、大事なことですね。

千と千尋?「明月禅寺Mingyue changsi」

いつもの宝平酒店にチェックインして、フロントで中国移動通信のお店がどこにあるか訊く。通話料プリペイド式なんだけど、「現在料金不足だからすぐ入金するように」と表示が出たから。教わった場所には移動通信の看板が掲げられた店が並んでいて、最初に入った店では、この番号は扱ってないと言われてしまう。いろんな端末会社の代理店が軒を連ねていて、よくわからん。別の店で訊いてみたら、大丈夫と言われてホッとしました。30元「充」で、38元支払うことを筆談で教えてくれました。その後は、時間つぶしに「明月禅寺」へ。去年、初めて来たとき門前町の家並みが「千と千尋」みたいだと思ったのだけど、そのときは、刘阳のおばさんのご主人の車で通過してしまったので、もう一度行ってみようと思ったのでした。お寺の前までタクシーで5元(基本料金5元は鞍山より安い)。あの時登った山頂の塔が見えるけど(上)、今日はお天気もよくないので登らず。お寺の中もいいことにして、緩い坂を少し下ると二つ目の門(中)。そこをくぐると、一番下の一つ目の門との間が、ご覧のとおりの町並み風景(下)。「鞍山城」もそうだけど、「門をくぐると別世界」みたいな感じって、おもしろいです。しかも、そこでは現在の生活が普通に営まれてる。テーマパークじゃないですし。そのまま、歩いて駅前まで戻れそうな距離だと思ったので、駅の方向を目指して歩きました。もともと、方向感覚には自信があるのと、何度もグーグルマップ見てて、大体の地図が頭に入っているので、ちゃんと最短ルート(おそらく)でたどり着きました。

食堂いろいろ

駅前通りと、繁華街の路地はご覧の工事中。この右側に例のお店がある・・・あれ?・・・ない。往復してみたけど、やっぱりなかった。去年来たとき、人なつこい若夫婦が切り盛りしてた「香来香」という麺の店(2011年6月7日参照)が、なくなってた。もう、せつない気分になってきました。しかたなく、同じ並びの別の店に入ると、「台湾人か?」と訊かれる。やっぱり「よそ者」とすぐわかるよね。ギトギトの炒面を食べながら、日本人で蒸気機関車を撮りに来たことを話すと納得顔。「なくなっちゃったんでしょう?」と言うと、「え? あるよ。」・・・おねえさんは、ほかの客を巻き込んでいろいろ言ってくれるんだけど、ほとんど聞き取れないので、こんなときホントに悔しい。客のおじさんが、朝7時に行けば見られるようなことを言ってる。この情報を重要視すべきだったというのは、後でわかったこと。もう一人の若者が、「この後6時ころに駅に行けば見られるから、なんなら一緒に行こうか?」と言ってくれたので、半信半疑ながら一緒に行くことにしました。本当に、食堂ではお世話になるね。もっとも、日本人だとわかると嫌な顔する客もいます。なにせ、外国人はほとんどいない田舎町。CCTVは一日じゅう尖閣諸島問題のニュース流してるしね。

どっこい生きてた「上游Shangyou1770」


 その若者と一緒に駅の跨線橋に行って、いろいろ会話するんだけどまったく聞き取れない。こっちはしゃべって、彼のほうはノートに書いてくれる。「数日前に来ればよかったのに、映画の撮影で汽車が走るところを撮ってて、僕もそのエキストラたちを撮ったことある。」「また、走ってくるかもしれない。音が聞こえる。」と。え?・・・聞こえる!ホントだ!来るよ!・・・急いでカメラを動画モードにして撮影。youtubeで、すでにどなたかがアップしてるように、誰でも撮る場所だけど仕方ない。もろに熱気を浴びました。
 やって来たSLは「上游1770」。去年稼働していたのは「1771」だったけど、1輌は点検修理中という情報もあったので、それが「1770」だったのでしょう。こっちのほうが老朽化著しい感じがしました。3番線には大青行き18:43発309レがすでに停まっていて、大明線・王千線の旅客列車が廃止になった今、この時間に到着する列車はないはず。彼が言うには「前はこの列車は走ってたかよくわからない。 今は基本的に映画やドラマ撮影用で、老朽化して使われなくなった。」とのこと。客車を見ると、普段の硬座車2輌のほかに、こんな客車がつながれてた(上)。観光用特別列車ってことでしょうか? この時点では、ついに定期列車からは引退して、観光用・撮影用としてだけ走っているのだと思いました。機関車が先頭に付け替えられ発車準備ができたところ、2番線に东关屯Dongguantunからの406レが到着(中)。このあと、何時にどこに向けて発車するのかはわからない。彼が「なにも見どころないですか?」「おもしろくなかったですか?」と書いたので、「とても満足しました」と答えましたが、そう言われるような顔してたんでしょうか?彼の写真を撮らせてもらって、後で送るから住所を書いてくれるよう頼むと、「最近書くことないので字が汚くてゴメンナサイ」「お金がもったいないから送らなくていいです」と書きながらも、住所を書いてくれたので、後でちゃんと送ろうと思います。年齢を聞くと19歳。学生かと聞くと「不是了。无业游民吧!」だって。「無業遊民」さしずめフリーターですね。田舎町調兵山も就職難なのでしょうか?それにしても、あの食堂に入らなければ、この若者がそこでご飯を食べてて僕の話に関心を持ってくれなければ、この列車には出会わなかったわけ。偶然の不思議さ、出会いの不思議さにあらためて驚かされ、また感謝せずにいられません。吴跃辉WuYuehui、ありがとう。