「好きできれいな所」

考えたら、昨日は往復6時間バスに揺られ、撫順にいた時間の方が短かったんですね。これでも、見学地はゆっくり見た方です。中国人団体は、ガイドがものすごい勢いで説明しながら、風のように帰って行きましたから。もうすぐ、共産党結党90年記念行事があるので、こういった施設を巡るツアーがあるそうです。お昼を食べている時、2人の学生に、「歴史をいろいろな観点から見る」という話をしてみたんですが。「見る方向が違うと違う形に見える」というのを、丸い皿も縦にしてみると丸くない、という実例を見せてみたんですが、通じたかな? もちろん、ブログには書けない話もいろいろあるんで、帰ったらお話ししますね。

「好きできれいな所に行きたいです」

ひさびさに日本語ネタ。今日は朝から雨で、買い物もやめて休養日としました。午後、2年生の学生が、明日のテストのために作文を見てほしいとやって来ました。明日は写作(作文)テストで、100点中40点が300字〜400字のテーマ作文。授業でやった二つのテーマのうち、どちらかが出る。なので、事前に準備する事が出来ます。彼女は、授業で書いた時の文章が300字に満たなかったかので、書き直したんだけど見てください、というわけ。テーマは「10年後のわたし」。「お金があるなら、好きできれいな所に旅行するほしい。」。・・・「〜ほしい」はかなり難しいようで、2年生の多くの学生がわかってません。それを直した上で、「『好きできれいな所』什么意思呢(どんな意味)?」「我喜欢的漂亮的地方」。ああ、それなら「私が好きな、きれいな所に旅行に行きたい」だね。すると彼女、「好きな」は形容動詞、「きれいな」も形容動詞だから、2つの形容動詞をつなげるときは「・・・で・・・」と習った、と主張する。う〜ん、そうかぁ・・・。そうだね、そう教えてますね、確かに。日本語教科書の落とし穴・改訂版が出るなら採用してほしいぞ。

  1. 安い料理+美味しい料理・・・・・・安くて美味しい料理。(イ形容詞+イ形容詞)
  2. きれいな図書館+静かな図書館・・・きれいで静かな図書館(ナ形容詞+ナ形容詞)
  3. 好きな人+素敵な人・・・・・・好きで素敵な人???

「好きな」は、確かにナ形容詞。でも、形容詞には性質・形状など属性を表すものと、主体にしかわからない感覚を表すものがあって、それによって使い方が違う。これを教えられてない、ということですね。感覚を表すのは、「痛む」「悲しむ」のように動詞もある。中国語の「喜欢xihuan」は動詞だしね。ただ、今さら、これをどう教えれば理解出来るか、自分でも整理出来ないし、なによりも本人が混乱するだけなので、「自分が好きで、きれいな所に・・・」だったら、そんなに違和感ないかな、ということにしておきました。「好きな」は感覚形容詞なので、主語は誰かを入れる必要がある、ということだけ押さえれば、まあ「間違いじゃない文」にはなりますか。ちなみに、この学校の教科書は、国語文法用語の「形容動詞」と教えるばかりか、動詞も「五段・一段・変格」などと書かれている(普通は一型・二型・三型)うえ、「連用形」などの用語も登場しちゃう(必要なし)。それを暗記させられる学生たちは、日本語が嫌いになります。なぜ、この教科書を選んだ? それは、中国ならではの「人の縁」が理由のようです。